悪魔と天使と快楽主義者

管理者:みやちん◆天使のザワメキ 悪魔のササヤキ

ヒストリカル・ファクト・シンボル

ヒストリカル・ファクト・シンボル



“ガルム”漏洩事件
ラズテック・ラボラトリィ所長
リチャード・バークレー


まさか、あの小僧がこんなに早く行動を起こしていたとは思わなかった。
温室育ちでも小僧の方は少なくとも世間知らずではなかったということか。
それにしても、ラングレーも何をやっている。
せめて小娘だけでも手元に置いておければ。
すぐに二人とも始末すべきとした本社の判断が正しかったということか。
現在の研究が終了するまで小娘を生かしておこうとしたのが間違いだったということか。
小娘を懐柔させ研究を続けさせようと考えた私が愚かだったのか?
ラングレーの男に、どんな手段を使っても小娘は傷つけずに取り戻せなどと言うべきではなかったのか。
これで私はお終いだ。
飛ばされた先のこの地で、更に失態を重ねてしまったのだから。
シーゲル会長もさぞやお怒りのことだろう。



ヌマヅ・スラムの崩壊
ヌマヅ・スラム在住
マギー・ビアンカ


港があんなことになるちょっと前だったね、カルロスの所にあの子たちが来たのは。
どういう訳かカルロスの所にはいろいろ何かを抱えたのが集まるんだよね。
だけどあんなにも小さい子は初めてだったけど。
男の子と女の子が一人ずつ。
女の子の方はここがどういうとこなのか知らされずに来たみたいだったけど、すぐに納得して馴染んじゃったね。
良かったよ、ここで戦うことに疑問を感じたら、いろいろ面倒だからね。
ま、そっちの方がまっとうなのかもしンないけどね。
それにしても、仲の良い二人だったね。
もしかして、兄弟だったのかい?



箱根山中にて
国民軍二十二部隊
シマヌキ・トモキ軍曹


『我が国への亡命希望者を保護せよ』
司令部より連絡のあったその時、我々は南箱根山中の哨戒任務の途中であった。
亡命者を保護し、指示通りに伊豆DMZへと移動、途中に国連軍と交戦。
戦闘終了後、ナカジマ曹長が本隊に戻らなかった。
何かがあったに違いないと誰もが考えた。
本隊に戻ったナカジマ曹長は、一人の少年を連れていた。
その少年を拾ったことがナカジマ曹長の本隊合流を遅らせた理由であったのだ。
そう、例えば少年がトラックにでも飛び乗ってしまっていたなら、ナカジマ曹長は無事に戻って来られたはずなのだ。
それにしても、あの少年は何者なのだろう。



オダワラ基地訓練中
オダワラ基地第十ライフル分隊
ロナルド・ハラス二等兵


今日もビッグマウス侵攻のための訓練で一日終わった。
あんな作戦成功するはずもないってのに、こう毎日訓練ばかりじゃ、うちの弾薬だてすぐに足りなくなる。
もともと訓練用の空砲なんかそんなにあるはずもないだろう。
毎日ひっきりなしにトラックがあちこちの基地から弾薬を運んでくるせいで、武器庫に鍵をかけてる暇なんざありゃしない。
物騒だが、誰かが忍び込むなんてことはないだろうから、構わないさ。
にしても、今日廊下で擦れ違ったあの綺麗な姉ちゃんは誰だったんだ?
見たことねえから、どっかの基地の新任なんだろうけど、こんな国に配属されるなんて、可哀想にな。
ここじゃ出世は望めないぜ。
なんせあのUGを相手にしてんだからな。



オダワラトンネルにて
国民軍医療班
ダテ・シンイチ少尉


最近、オダワラ基地の様子がどこか妙ですね。
基地周辺の哨戒行動の回数が減少しているように思えます。
ですが、その割に頻繁に補給車両の出入りが見られるのも事実です。
基地内で何かをしているのでしょうか。



シュゼンジ難民キャンプでの一日
国連軍兵士
トーマス・スミス軍曹


まったく、なんなんだ、あの女は?
たかがガキの一人を説教したくらいであんなムキになりやがって。
いるんだよああいう女がよ。子供にやたら神経質になりやがる女が。
あの女、何だか知らねえが管理棟の辺りをうろついてやがったな。
まあ、あそこのデータを見て何かわかることもないだろう。
せいぜいハルミに何かあるってくらいか。



暗号との戦い
国民軍情報部
シラキ・ナツコ伍長


世の中には、天才と呼ぶに相応しい人がいるのですね。
イシイ少尉も私なんかよりずっと優秀ですけど、それでもあの子の足元にも及ばないって言ってましたし。
ええ、そうです、あの亡命してきたドクター・ケイト・マイヤーのことです。
たった二週間であの“ガルム”の解析プログラムを作ってしまったのですから。
そもそも“ガルム”も彼女が作ったプログラムらしいから、それも当然なのかもしれませんけど。
だけどあの子、初めはちょっと怯えていたみたいでしたね。そのあたりはやっぱり15歳の女の子なのでしょう。
それでもすぐに私たちに心を開いてくれたみたいで、良かったです。
もしあの子が私たちに心を閉ざしてしまったなら、あの子の立場は、辛いものになっていたでしょうからね。



居住局での仕事
第11層居住局局員
スドウ・ナオフミ


今日はおかしな一日だった。
情報部のマツザワ中尉から私達に直接指示が来るとは珍しい。
居住区を求めて訪れるであろう少年にタケウチ大佐か、ヤエガシ大尉の家を紹介して欲しいと言うではないか。
あの少年にはいったい何があるというのか。
おかげで私は情報部のお嬢さんに小さな嘘をつかなければならなくなってしまった。
(一人分なら兵舎に空きはあったのだ)
彼はどちらへ行ったのだろうか。



イルマ基地航空施設襲撃作戦
国民軍情報部
シラキ・ナツコ伍長


イルマ基地の航空施設襲撃は、無事に成功しました。
もちろん、タケウチ少尉の活躍があったからこそですが、ドクターマイヤーが事前に充分な警備体制の情報を入手していたから、ということも大きな理由のひとつです。
というのも、なぜだか、イルマ基地の情報セキュリティのレベルが急に高くなり、彼女がいなければプロテクト解除ができなかったかもしれなかったのです。
普段なら、それ程高いレベルのセキュリティがかけられていることなどないのですが、おそらくはイルマ基地に新型の航空機が配備されたためなのでしょう。
ドクター・マイヤーには、これからも有益な情報を入手し続けて欲しいものですね。



民兵士入隊教練
国民軍第七部隊
スドウ・フミヤ軍曹


サカキ・サトルって言ったかな?彼は新兵たちの中でもちょっと別だね。
すごく良い眼をしてるよ。
ああ、今、入隊教練を受けてるんだけどね。
それに彼、ナルミとも仲が良いみたいだね。
以前のナルミは何だか無性にピリピリしてて、張り詰めてたけど、最近はそうでもなくなってきたようだ。
きっと、サカキがいい影響を与えているんだと思うな。いろんな意味で。



ゲリラの聖地”
ミシマ・スラム住人
騙し撃ちのテペオ


来たみたいだな。
何がって国連軍だよ。奴らオレたちを目のカタキみたいに思ってるからな。
まあ、よっぽどのことがない限り、オレたちはくたばらないさ。
なにせここは“ゲリラの聖地”なんだからな。



南箱根における磁場の異常
国民軍第十三部隊副官
カトリ・スミツグ軍曹


今回こそは、何らかの確証を得ることができるものと考えていた。
無論、南箱根における磁場の異常に関してである。
今回の調査には「来訪者」である「彼」が同行していたためである。
私はそう考えていた。
しかし、我々は調査よりも救援を選んだ。その判断は間違ってはいなかったはずだ。
我々が司令部に帰還した頃には既に「磁場」は消失してしまっていたが。
「磁場」はいずれまた、発生するであろう。
それが三日後になるのか、三年先になるのかはわからないが、いつかは、きっと。



CIA長官狙撃事件
CIA局員
カート・ロックエェル


長官の死体は、至近距離で大口径の銃弾を喰らったようにしか見えなかった。
しかし、そこは海抜130mはある、ビルの28階なのだ。
窓の外にはただただ空間が拡がるだけで、狙撃が可能な場所など存在しない。
いや、正確には、ただ一点のみ、存在はする。
遥か彼方、シモダの山の中腹だ。
ただし、そこからの狙撃を行うのであれば、3km向こうの標的を狙える銃と、その銃を使いこなすことのできる狙撃手が必要だ。
果して、その両方がこの世に存在すると言うのか。
長官の死は、揺らぐことのない事実である。
しかし、私は未だ、その事実を信じることができずにいる。



新型戦車運搬指令
GI社開発研究部
ヘンリー・フロック


ようやくデトロイトの工場からイルマ基地への輸送佐合が終了した。
長い空の旅だったが、私の肩の荷はまだ下ろせないらしい。
ロールアウトした2台のうちの1台をヒビヤ・キャンプというところまで運んでこい。
トレーラーなどないから、試験走行を兼ねて実車で行くんだ、などと言われてしまった。
本来ならそんなことは軍の人間が勝手にやってくれればいいのだが、何でも今、大きな作戦の最中で人員に余裕がないのだとか。
そんな時に納入しなくてはならなくなったのには、私たちの開発が遅れてしまったせいもあるのだから、そう強く文句も言えない。
しかし、民間人の私たちに戦地の真中を移動させるとは、ひどい話だ。
私は不安を隠せなかった。UGに遭遇でもしたならどうするのだ。
私がそう言うと奴らは、自分たちの作った戦車の性能に自信がないのか?と返してきた。
そう言われてしまっては、断れない。
危険には違いないが、余程迂闊な行為を取らない限りは、大丈夫だろう。



彼女の取材
デイリー・オブビアス
ウォルター・ナガト


ヒビヤ、か。
ただでさえひどい街だと聞いていたが、最近の戦闘で状況は一層悪化しているらしいね。
ああ、ちょっとした知りあいが向こうにいるんでね、情報は入って来るんだよ。
彼女は、ハルミに行き、ヒビヤ・キャンプを取材したいのだとか。
その前に立ち寄ったシュゼンジで何かを掴んだらしくてね。
まったく、どうしてあんな危険な所へ行く気になるのか。
トコロザワのアメリカ民間人居住区あたりの取材でも良いじゃないかと思うのだがね。



カチドキ橋爆破作戦を眺めて
ヒビヤ・スラム住人
マーク・コリンズ


なんてこった、こんなことってあるのかよ。
完敗だよ、UGが国連軍に。
そりゃあ確かに、UGが得意なのは森ン中での神出鬼没のゲリラ戦だ。
開けた街の真ン中じゃあ、戦車だのヘリだの持ってる国連軍の方が有利だったってことだ。
ついでに、UG軍は鬼でも化け物でもなくて、バカみたいに強くっても人間なんだってことなんだな。当たり前か。
それでもイイトコはいってたと思うぜ。ああいう展開ってのは、イキのいいのがあと一人いれば、ひっくり返ったりするもんなんだがな。



“野兎”の足跡
国民軍情報部
シラキ・ナツコ伍長


ヤエガシ大尉がなぜ、ミタカ・スラムに立ち寄ったのか、ですね。
本人からの報告があったのではないのですけど、どうやら“鷲の卵”、アメリカ人の子供を拾ったためのようですね。
ミタカ・スラムに潜伏している準国民兵士から大尉が子供と一緒に現れたと報告がありました。
きっとトコロザワ居住区の子供でしょうけど、戦場を子供連れで移動するなんて、大尉らしいですよね。放っておくことができなかったのでしょう。
戦場で子供を預かってくれるような奇特な人はいませんものね。
連れて歩かざるを得なかったのでしょう。



スラム掃討作戦
国連軍オダワラ基地車両整備部
ウィリアム・アンダーソン


どうした?浮かない顔して?
UGを仕留めたんだろ?聞いたぜ。
……子供だ?仕留めたのが子供みたいな奴だったってことかい?
どこだ?ムサシノ?そうか、あの辺でか。
だけどな、子供を仕留めるのってのも気持ち良くねぇだろうがな、百戦錬磨のベテラン兵士と出くわすよりは、マシだろうが?



スラムに咲く花
クラブ・セレス従業員
ナーシア


最近、なんか退屈じゃない?
あのマリアのお気に入りの彼も来ないし。
そうね、スワン・ソングにでも行って来ようかな?
あそこ、いろんな人が来てるの、知ってた?
この辺りでまっとうな人が入れるような場所は、ここかあそこくらいだからね。
近くに来た人は大抵あそこに集まるみたいよ。



黒衣の女
フランク・ムーア側近
ジョセフ・ニコルソン


なあ、何だってお前、ワカマツを狙撃なんかしようとするんだ?
ああ、ボスが命令したからだってのはかわってるよ。
ついでに言えば、ボスはシーゲルの爺ィに命令されたんだ。
まあ、改めて言う必要もないか。
つまりだ、お前ほどの腕前なら、いつまでもムーアの下にいることもないんじゃないかって思うんだよ。
何だったら、良い話紹介してやってもいいぜ、シスコでスナイパーを探してる男がいる……必要ないって?
この国で、やることがあるって?
ふうん、それじゃあまあ、頑張ってくれや。
ああそうだ、お前、明日っからまたアジトに戻るんだろ?
あの味気ない廃ビルによ。
気をつけた方がいいぜ、最近あの辺をうろついていたのがいるらしい。
もしあれがUGの準国民だったら厄介だぜ。



ヒビヤ・キャンプにて
GI社開発研究部
ヘンリー・フロック


ここ、国連軍ヒビヤ・キャンプに配備されている(運んだのは私たちだが)アニヒレーターを、イルマ基地に戻さなければならなくなってしまった。
何でも、司令官が特にそのような指示を出したとか。
まさか、使いもせずにしまい込むつもりではないだろうな。



武装集団アジト襲撃
日本国民軍外事交渉局第四課
ナガセ・ソウイチ


奴らのアジトは、ナルミが吹き飛ばしたってな。
そう言えば、凄腕のスナイパーがいたんだって?したいは見つかったのか?
見つからない?回収されたらしい?
ミサイルで吹き飛ばされた怪我人を?
ふうん、どうするつもりなんだかなぁ。
そんな大怪我を治せる薬があるなら、オレも欲しかったかな。



“野兎”への連絡
国民軍情報部
シラキ・ナツコ伍長


私たちが、あのミサイルを阻止するために必要な物は、座標コード表と呼ばれる物だったのです。
正確に言うならば、デジタルデータの存在しない、地図に手書きで書かれたアルファベットと数字の組み合わせを知る必要があるのです。
大抵の情報であれば、国連軍のコンピュータに侵入して手に入れることができます。
しかし、このデータだけは、誰かがそこへ行き、直接手に入れるしかできないのです。
あとは、その座標コード表がどこにあるかを調べるだけです。
大尉、待っていて下さいね。



彼女と真実
デイリー・オブビアス
ウォルター・ナガト


彼女から届いたレポートはもう読んだのかな。
だとすれば、もう説明は必要ないだろう。
UGに、常温超電導技術は存在しない。
それが、真実なのだよ。
ああ、彼女のレポートの中には、それを明確に証明できるだけの情報は含まれていない。
しかしだね、君も彼女のレポートを読んだ瞬間、無条件にその内容を信じてしまったのではないのかね。
彼女がそう書いているのだから、それが事実なのだと、そう思えたのだろう?
まるで、彼女がその文章をしたためた瞬間に、この世の事実が決定されたかのようだとね。
まったくもっておかしな話だ。
あらゆる論理が私のこの感覚を否定することだろうが、なぜだかね、昔からこの感覚を捨てられずにいるのだよ。
それにしても、実はこの世に常温超電導技術が存在するのだとしたなら、この戦争に関わるあらゆる人間の人生を大きく変化させることになるだろうね。



コンサートの日
ヒビヤ・スラム住人
猫目のマッコイ


さっき、怖いモン見ちまったよ。
黒い服着た女がな、路地に隠れるみたいにうずくまっているんだよ。
で、具合でも悪いのかって声かけようとしたんだけど、様子が変なんだ。
近づこうとしたんだけど、よく見たらその女の足下に、使い終わった注射器が落ちてたんだよ。
そんで、その女もオレに気づいたンだけどさ、どうしたと思う?
いっきなり銃をぶっ放してきやがったんだよ。
まったく、クスリなんかやってる人間には近寄らない方がいいよな。



彼女はどこへ行くのか
デイリー・オブビアス
ウォルター・ナガト


彼女はいつも、何かを探し求めていた。
いいや、何か、というよりもどこか、と言うべきだろうか。
彼女はいつだったか、それはきっと日本のどこかにあるはずだと、言っていた。
ならば、この取材で、その場所を知っている人間と出会う機会があるかもしれない、とも。
彼女なら、それがどこなのか、どうすればそこへ行けるのかがわかれば、きっとそこへ行くだろう。
私には、そんな気がしてならないのだ。



この国の未来をかけて
48人委員会
クロダ・ノブユキ


我々が戦場として選んだのは、シコクである。
かつては英国がその地を植民地としていたこともあったが、ここ数年、かの地が本格的な戦場となったことはなかった。
故に我々も国連軍も相応の戦力を移動させなければならない。
そこに、狙いがある。
奴らが我々とまともに戦おうと思えば、歩兵だけではとても話にならない。
相当の戦闘車両部隊を、今まで戦力が不必要であったシコクへと移動させなければならぬ。
どこからか?
関東地方、すなわちオールド・トウキョウ全域からだ。
国連軍の戦力は、そこに集中している。
火急に相当数の部隊を移動させようと思えば、当然、そこには歪みが生じる。
そこにこそ、我々の狙いがあるのだ。
シコクに飛び立つものたちには、辛い目を見てもらうことになってしまうがな。



救世主の背中
国民軍情報部
シラキ・ナツコ伍長


ヤエガシ大尉の任務についてお知りになりたいのですね。
簡単に言ってしまえば、HSミサイルによる地下司令部とオールド・トウキョウへの攻撃を阻止する、ということです。
それに必要なデータ収集、その他のために、大尉はヒビヤ・スラムに潜伏指令が出ていたのです。
SHミサイルというのは、遥か彼方からマッハ22で飛来するミサイルです。
基本的にはその驚異的な速度と質量による運動エネルギーを破壊力とするのですが、今回国連軍が使用するものにはさらに、核弾頭までもが搭載されています。それが落とされたなら、巨大クレーターしかそこには残らないでしょうね。
ええ、そうです。
核の炎は敵味方を識別したりはしません。
現在オールド・トウキョウやナガノ周辺に駐留している国連軍の兵士も、巻き添えになりますね。
彼らがどうして、そこまでして私たちを滅ぼそうとしているのかなんて、私にはわかりません。



常温超電導技術移送作戦
国民軍情報部
タケウチ・セイジ大佐


彼らは、西を目指し飛び立った。
行く手にあるのは、一筋の光もない暗闇かもしれない。
彼らを送りだした立場であるわたしが、そのように言ってしまうのは、許されないことか、生き残る希望が皆無というわけではないのだから。
彼らはシコクの地で、限りなく絶望に近い戦況の下で戦うことになる。
願わくば、彼らが真実を知ってなお、我が国のために戦い続けられることを。



東京という名の街で
日本国民軍情報部
オダギリ・アキラ


助かったよ。
アンタには昔っから世話になりっぱなしだな。
しかしアンタ、いい度胸してるよ。気づいてたか?あんたが撃ったあの兵士、ジャック・ザ・メイジャーだぜ。
オレでさえ名前を知ってんだ、アンタが知らないはずないだろ?
まったく、ついてないな。
オレみたいな素人上がりがあんな大物にぶつかっちまうとはな。
あの野郎が向こうの瓦礫の平野にでも行っててくれれば、オレは戦わなくてすんだのにな。
そうは思わないか?マツザワ中尉。